FEATURE
地域活性団体MUSUBUがむすぶもの
地震、津波、原発、そして風評被害という四十苦とも言える災害に苦しむいわき。そのいわきに新しい風を送り込むプロジェクトが誕生した。地域活性プロジェクトMUSUBU。いわき市小名浜出身者3人からなるユニットは、マイナスをプラスに変えてしまうようなクリエイティブな感性で、いわきに大きなうねりをもたらし始めている。
音楽業界出身で、現在は自称 “アクティブニート” の宮本英実を代表に、フェアトレードコーヒー豆の販売を行う(株)ethicafeの代表、末永早夏と、地元の工房で働くかまぼこ職人でありVJの高木市之助がmusubistを務める。MUSUBUはこの3人によって立ち上げられた。
現在は、小名浜地区ボランティアセンターの運営を中心に、各種イベントなどを通じていわきと「なにか」を結びつけるべく、さまざまな企画を計画中。7月には、小名浜のカフェUluruで、つじあやのによるウクレレ教室を予定するなど、3人それぞれの人脈を活かした、これまでの「地域活性」にはない大胆な取り組みで、いわきの活性化を目指している。
「自分にできることをやってるだけなんです。大げさなテーマなんか掲げずに、自分たちが楽しいことだけをやるというところから、いろいろなものを結んでいきたい」と代表の宮本は語る。既存の地域活性化団体にない、いい意味での力の抜け加減。それが、持続性を生み、MUSUBUのまわりに人が集まってくる環境を作り出している。
ー震災ボランティアからの誕生
一見なんの脈絡もない3人を結んだのは、震災ボランティアだった。末永と高木は、震災当初から「小名浜がんばっぺ隊」というボランティア団体を組織し、物資の提供や炊き出し、ガレキの撤去などの活動に当たってきた。その炊き出しに、偶然宮本が参加したことがきっかけとなった。
「倉庫でよくおしゃべりしていたんですけど、この2人と話していると、どんどん話が膨らんで、うずうずしてくるんです。自分たちが楽しんでいると、周りの人たちもそう感じてくれる。小名浜のボランティアセンターにリピーターが多いのも、そのせいかもしれませんね。「いわきっていい町だね」ってみんなが言ってくれる。それを、どんどん膨らませていきたいんです」(末永)。
3人が着るユニフォームは、関東の書道家がわざわざ自筆で書いてくれたものだそうだ。「自分の得意分野で、何かの役に立ちたいという人はたくさんいるんです。その受け皿を作ることも、MUSUBUの役割なんじゃないかと思います」(宮本)。3人の前向きなハートは、すでにたくさん人たちを結び始めている。
結びつけるのはヒトだけではない。かまぼこ職人である高木は、「MUSUBUの活動が本業に活かせるのも魅力」だと語る。多くの人に商品を宣伝できるだけでなく、「ウェブサイトの構築の仕方や、県外の人にどう売り込んだらいいのかのヒントも、MUSUBUを通して知ることができる」という。MUSUBUは、仕事と自分を有機的に結ぶ潤滑油の役割も果たしているようだ。
ーmusubistという名の接着剤
今後は、プロジェクトを持続的なものとするため「事業化」の方向性も目指していくという。風評被害に悩むいわきの農産物や海産物を、創造性のあるアイデアを用いてリブランディングしていくことも、今後の活動の柱になるだろう。音楽イベントなども目が離せない。すでにその取り組みが在京メディアなどにも取り上げられるなど、とにかく、今のいわきで一番期待を集めている団体なのだ。
「私たちは実績も何もないけど、外部にも積極的にアプローチしていくことでいわきを知ってもらうきっかけを作っていきたい」と宮本は言う。さまざまな、そして豊富な経験を持つ3人。その化学反応が、いわきと「なにか」を結ぶ接着剤になる。そのことを、3人は身をもって証明していってくれるに違いない。そのすぐ後ろに、いわきの復興もついてくることだろう。
information
地域活性プロジェクト MUSUBU
コメントをお書きください
やぶき (火曜日, 14 5月 2019 13:40)
はじめまして 小名浜にすんでるものです
いわき踊り小名浜には 出場したいのですが
出場しますか?
毎年見てるだけではなく 出場したいのですが
何分わからないので
もしどこかの団体紹介していただけますでしょうか?
ご連絡お待ちしています