掘り出しものがある街
tetote essay vol.15 / photo & text by yumiko
小名浜に住んで早9年。この9年の間に子供が三人も生まれ、私は今やすっかり日々のせわしさに追われた浜の母ちゃんになってしまいました。
昔、私の中では白百合幼稚園の教会、小名浜ショッピングセンター&名店街に来ると小名浜に来た!という感じがしていました。名店街の中の水路と噴水。水の中にはお金がいっぱい入ってたな。小さなお店もたくさん入っていて、ちょっと薄暗くて。いろんな色のライトが灯ってて独特の雰囲気がありました。
結婚する前に妹と旅行で行ったベトナムのデパートみたいな…平の大黒屋とはまた違うノスタルジックでちょっと妖しく、チープさがあって子供にとってはなんだかワクワクするような場所でした。キンダーボックスのクマのクッキーも大好きだったな~。今あんな不思議な建物ってない気がする。まだあのまま残っていたらきっと面白い建物だったんじゃないかな。。
結婚して、私は小名浜にあるゼリー屋の嫁になりました。結婚するまでこのお店を知りませんでした。だんなが小学生の頃から始まっていたのだから、私が名店街へ行っていた頃からあったんだと思うけど、その存在はやっぱりあの時代らしい気がする。
昔は、できそうもないような夢の中の世界のようなことを現実にやっちゃえるような余裕というか…軽さのような気負いのなさみたいなのがあったんじゃないかなと思う。こんなこと出来たら楽しいなと思うことをまず現実にすることは大変だし、そしてそれを継続していくことはもっと大変だと思う。でもそれがとてつもなくいろんなことを巻き込み影響していくこともある。それって他人の人生変えちゃうくらいすごいことだと思う。
名店街はなくなってしまったけど、思い出はずっと記憶の中にある。そしてあの頃から変わらないゼリーは今もずっと残っている。すばらしい!
そもそも、私もどんぶらこどんぶらこと人生渡ってきて、小名浜にたどり着きました。昔は住む場所が自分を変えてくれると思っていました。だから引っ越しも大好きでした。でも、結局何もせず、ふわふわと浮いていただけだったような気がする。
小名浜…正直まだ何も知らない。
でも、ここへ住んでから、自分がやっと地に足が着いたような気がしています。私が思っていた以上に、ここには掘り出しもんがいっぱいあったと思う。私の中での掘り出しもん。いいものばかりではないけど、ここへ住んでたくさんの出会いや出来事が、私を心底変えてくれたと思います。
これからもここで掘り出しもんを探しながら、私も小名浜と年を取って行くんだろうな~。。
と思う30も後半にさしかかった一主婦なのであります。
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