tetote onahamaでも何度も紹介している、小名浜在住のかまぼこ職人でありVJの高木市之助が中心となって、新しいアートプロジェクトがスタートする。その名も「OAM −小名浜・アート・盛りつける−」プロジェクト。さっそく10月末に第一弾のイベントが開かれることになった。その中身とは?
text & photo by Riken KOMATSU
盛りつける。そこには、まるで刺身丼に豪快に盛りつけられる「刺身」のように、小名浜にアートを盛りつけようという意味が込められている。また、プロジェクト名「小名浜・アート・盛りつける」の間に「・」が使われているのは、小名浜「を」アート「で」盛りつける、小名浜「に」アート「を」盛りつける、など、参加者が自由に助詞を組み合わせて、自分なりの言葉で盛りつけて欲しいという意味を込めた。クリエイターだけでなく、参加者たちが作品を作り、自分たちの町を作っていく「参加型」のイベントだとメッセージを込めた。
その第一弾として企画されるのが、今回の「小名浜の景観をスケッチしに出かけよう!写生会」だ。小名浜の景色を実際に描くことで、そこに流れてきた歴史や風景の価値を再確認し、その景観を保存しようと言う、タイトル通りの参加型イベントである。シャッターひとつで撮影できるカメラとは違い、長時間その景色と向き合うことで、絵だけではなく、記憶にまでその景色を保存することができる。
小名浜港付近は、津波で多くの建物が壊されてしまった。全壊を免れた建物も多く、まだ住めそうなものも多いが、そこで暮らす人たちの苦労を思えば、解体を止めることはできない。しかし、絵を描くことで、思い出は保存することができるし、後になってその建物についての思い出を語ることもできる。この写生会は、目の前の現実や変化を受け入れるための「儀式」なのかもしれない。
これまで、オルタナティブスペースUDOK.に所属するクリエイターたちが中心となり、「弔いの壁」、「オクリエ(アシタエ)」、「戻りガツオTシャツ」などの作品が作られてきたが、「OAM」は、その集大成となるような大きな活動になることが期待されている。「結局、変わることを止めることはできません。けれども、思い出だけでも残したい。みんなで写生会をしたよね、という思い出。ここにこんな建物があったね、という思い出。それを作りたいんです」と、主催の意図を、高木は語ってくれた。
絵心のある人もそうでない人も、ぜひスケッチブックを持って、小名浜に来てみてほしい。みんなで何かを創る。その楽しさが、きっと、新しい町を作っていくことになるのだから。
【小名浜の景観をスケッチしに出かけよう!写生会】
日時:10月30日(日)
集合:朝9時 / 解散:16時
集合場所:UDOK. いわき市小名浜本町29−2
参加費:500円
問い合わせ:onahama.art.moritsukeru@gmail.com
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