イラストレーター比佐健太郎、ユアサミズキとの二人展を開催

 

小名浜で制作活動を続けている比佐健太郎と、平を中心に活動中のユアサミズキ、いわきを代表する2人のイラストレーターによる「二人展」。この展覧会は当初、3月12日に予定されていた。半年の時を経てようやく実現された2人のコラボレーション。2人が描く「女性」たちが、いわきに花を咲かせている。

text & photo by Riken KOMATSU

 

二人展「ANNIVERSARY」。この展覧会を記念日というのは、比佐とユアサ、2人のイラストレーターとしてのキャリアが今年で10年目を迎えるためだ。比佐とユアサといえば、いわきを代表するイラストレーターとして県内外で広く知られた存在。書籍や雑誌の表紙、広告などのプロダクツ、いわき市内外での個展、ライブパフォーマンスなど、パイオニアとして、デビュー当初から幅広く活躍を続けている。

 

鳥取県出身で、仕事の関係でいわき市へとやってきたユアサは、会社員と平行して2001年にキャリアをスタート。2010年には独立し、イラストレーターとして本格的に活動をスタートさせている。小名浜生まれ小名浜育ちの比佐は、デザインの専門学校を卒業した2001年から、プロのイラストレーターとして地道に活動を続けてきた。テイストは違えども、2人とも「女性画」の作家として知られている。

 

今回の展示も、2人の描く線の違いが対照的で面白い。一本一本を筆で描く水彩画のような柔らかなタッチのユアサに対し、すべてマウスで描いているという比佐の線は、綿密にデザインされた痕跡を残している。アナログのユアサとデジタルの比佐、と言ってしまえばいささか極論だが、2人の描く女性像が作品をどのように構成しているかは、今回の展示の最大の見所だ。

 

14枚ずつのイラストが、規則的に並ぶ会場。作品はすべて女性画である。
14枚ずつのイラストが、規則的に並ぶ会場。作品はすべて女性画である。
比佐健太郎(左)とユアサミズキ(右)。
比佐健太郎(左)とユアサミズキ(右)。
会場となっているのは、いわきアリオス2階にあるアリオスカフェ。コーヒーを飲みながら、気軽に作品を楽しんで欲しい。
会場となっているのは、いわきアリオス2階にあるアリオスカフェ。コーヒーを飲みながら、気軽に作品を楽しんで欲しい。

 

2001年のデビュー以降、一貫して小名浜から作品を世に送り出してきた比佐。「今はネットで入稿もでき、地方だからといって作り手が大きなハンディを負うことはない」という。最近では、海外からも制作依頼が舞い込んでくることもあるそうだ。クリエイティブな活動をするうえで、制作拠点のロケーションというのは、もはや大きな問題にはならない時代である。

 

むしろ、「自分の田舎だからリラックスして制作に集中できるし、のんびり作品を作っていきたい僕には、今のこの環境があっている」という。ネット上には、クリエイターの作品を知ってもらうためのプラットフォームも数多くあり、そうしたものを利用すれば、自然の豊かな地方のほうがかえって制作に注力できる。個人で、地方を拠点に活動していくことは可能だということを、比佐は身をもって証明してくれている。

 

大震災というめまぐるしい環境の変化はあったものの、こうして半年遅れながら「10年」という節目を迎えた2人。これからやってくる新しい10年で描かれる女性には、どんな変化が生まれるのだろうか。会場のアリオスカフェで、温かい飲み物をゆったりと頂きながら、目の前の作品を眺めてみると、この10年で2人の描いてきた線が、より際立って見えるかもしれない。

 

比佐健太郎×ユアサミズキ  二人展「ANNIVERSARY」

会期:2011年10月1日(土)〜31日(月)

時間:10:00〜18:00(最終日15:00まで)

会場:アリオスカフェ 福島県いわき市平字三崎1−8

 

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