いわき市在住のアーティストdominoによる初個展。現在はイラストレーターとしても活動中のdominoが2004年から10年までに描き溜めた作品を一挙に展示する。会場となるいわき市平のスペースBASEMENTにとっても初の本格的な個展だけに、いわきのアートシーンに新たな1ページを刻む展覧会としても期待が高まる。
dominoの作品はどれも浮遊感が漂い、一見するとそのカラフルさから、意図せず「可愛らしさ」を読み取ってしまう。しかし、画面の隅から隅へと視線を移すうちに、色彩の中から「生」の胎動が聞こえ始め、ついには、意志を持たないはずのここの色が緩やかな意志を持って動き出す様が見え始める。
その錯覚は強烈な刺激を伴うものではなく、むしろ脳漿の最深部に麻酔薬を打ち込まれたような、軽いしびれ、陶酔感を伴う。作品を見れば見るほど被写体が自分と同化していくような感覚。水の上なのか、はたまた花の上なのか、肉体の内部なのか。実際の画面と脳内の画面が多重に共鳴していき、見る者の視覚の内側(INVISION)に、生々しい胎動の痕跡を残していく。
そんな不思議な陶酔感をもたらしてくれるであろうdomino展、会期中はなぜかdomino本人が豚汁を振る舞うことになっている。アートと豚汁の関係性は本人のみぞ知るところだが、この冬一番の寒さを記録し続けている1月、いわきのアートシーンにも「ぬくもり」という名の熱を届けてくれるイベントになりそうだ。
2004-2010 domino展
会場:alternative space BASEMENT
住所:いわき市平一町目47-1 タムラムセンビル1F
会期:2011年1月29日(土)、30日(日)
開催時刻:10:00 〜 17:00
入場料:無料
profile domino
九州女学院高校芸術コース油絵専攻修了、和光大学表現学部芸術学科油絵専攻卒業。現在は、ウェディング関係の広告のイラストを手がけるなど、イラストレーターとしても活動の幅を広げている。2月には広島県尾道市での個展開催も予定されるなど、さらなる活躍が期待されるいわき市のアーティストのひとり。
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